Piano Perspectives

2016

Concert 2016

文化の十字路～東欧から中央アジアへ～

Crossroads of Culture - From Eastern Europe to Central Asia

2016年11月26日（土）13:45開演　かつしかシンフォニーヒルズ・アイリスホール

ごあいさつ | プログラム | フライヤー

隔年開催の当演奏会シリーズも、節目の第十回を迎えました。第一回｢カタロニアの情熱と安らぎ｣以来、毎回設定してまいりました演奏会テーマも、ある国や地域にフォーカスをあてたものや、より心象的な内容のものなど、多岐にわたります。第五回｢光と闇｣からは、団体名にPiano Perspectives / P2の呼称を冠するようになり、これまでの道程においては、アルベニスの｢イベリア｣やゴドフスキーの｢ジャワ組曲｣など、意義深い全曲演奏も達成いたしました。そして、第十回の今回、私たちの選んだテーマは、｢文化の十字路｣です。

一口に、"東欧から中央アジア"と申しましても、そこには様々な地域や民族が含まれ、多彩な文化が育まれていることは、言を俟ちません。ポーランドのショパンやハンガリーのリストは、もちろん東欧の生んだピアノ音楽史上の英雄たちですが、クラシック音楽の本流たる西欧から、遠く東を見渡すと、この二人の向こうにも、瞠目すべき魅力や個性を湛えた楽曲が犇めいています。耳を傾ければ、独自の文化と西洋音楽語法の絶妙な融合に感嘆することもしばしばであるものの、残念ながら、不当に軽視されていたり、冷戦の影響や自国の動乱が災いとなって埋没してしまったりした楽曲も、夥しい数になるのでしょう。

P2が活動を開始した1998年以降、社会の最も大きな変化の一つは、インターネットの発達など追い風も受け、世界各地の距離が縮まったことでしょうが、嘗て情報の得難かった東欧や中央アジアの文化についても、多くを識り、その魅力に触れることが、格段に容易になりました。今回の｢文化の十字路｣は、"第十回"に懸けた語呂のよさもさることながら、今この時代になったからこそ彩りあるプログラムを披露することができる、いわば機の熟したテーマではないかと感じます。非常にスケールの大きな主題で、ご紹介できる楽曲は、汲めども尽きぬ滋味のほんの一部ではありますが、お楽しみいただけましたら幸いです。

杉本泉